
「式年遷宮」の始まりの祭事「山口祭」で「饗膳の儀」を行う神職と物忌(中央)=2日午前、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮
伊勢神宮(三重県伊勢市)の社殿を20年に1度造り替え、神々を移す「式年遷宮」を2033年に控え、一連の祭事の皮切りとなる「山口祭」が2日午前、伊勢神宮内宮で行われた。
式年遷宮は690年に始まったとされ、今回で63回目。山口祭は御用材の伐採作業の安全を山の神に祈念する。33年までに33に及ぶ祭典や行事が催される。
雨に煙る新緑の下、午前8時ごろに太鼓の音を合図に始まり、神職や「物忌」と呼ばれる児童らが正宮に向かって拝礼。事始めの祝儀の食事「饗膳の儀」を経て、「五色の幣」と呼ばれるのぼりを掲げた青い斎服姿の宮大工を先頭にした列が祭場へと進んだ。
祭場では、神職が祝詞を奏上。物忌たちが古式の作法で草木を刈って安全を祈念し、約2時間の儀式は終わった。
その後、外宮でも同様の祭事を開催。夜には造営の無事を祈る「木本祭」を行う。
【伊勢神宮】皇室の祖神とされる天照大神を祭る内宮と、衣食住をはじめ産業の神とされる豊受大神を祭る外宮のほか、123の宮社がある。内宮と外宮はどちらも三重県伊勢市にあるが、約4キロ離れている。古くから多くの人に信仰され、江戸時代には「お伊勢参り」が流行した。現職首相による参拝が新春の恒例行事となっている。祭主は上皇ご夫妻の長女黒田清子さん。